スタジオフリーの物語

80年代を駈け抜け30年、ようやく過去の私と向き合う

私の軌跡ー6-2<おかえり>

タラへ帰ろう。

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1997年、夏、突然家族を失った。

自分で、捨てたのか、それとも、捨てられたのか。

 

ただ、

その日から、「ただいま。」と、

帰ることができる場所が、なくなったのは事実。

 

中学生の頃、TVで観た「風とともに去りぬ」を思い出す。

 

スカーレット・オハラのように、美人でも、お金持ちでもないけれど、

自分から思いを寄せるアシュレは、地味なメラニーを選ぶ。

 

スカーレットは、たくさんの男性を魅了し、

誰からも、誰よりも、たくさんの求愛を受けている。

 

でも、本当に振り向いて欲しい相手は、手に入らない。

 

そして、戦争。

 

どの男性も、戦争へとかりだされ、

以前のような、夢の時間は終わってしまった。

 

そして、

アシュレと、自分は、

交じり合うことのない、異空間、異次元の関係だという、

自力では、変えることのできない宿命を、目の当たりにする。

 

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長男とふたり暮らしをはじめて、

数ヶ所目の派遣先は、大手のT版印刷でした。

 

埼玉の私鉄で、下りに数駅。

さらに、徒歩で20分。

 

大きな工場のなかでした。

 

これまでのように、

DTPの経験や、スピード、帰宅時間の不安定さ。

 

当然、そうだとかまえて、T版印刷A工場へ向かいました。

 

しかし、

そこは、ゆったりとした時間が流れ、

昼休憩には、学校のようにチャイムがなる。

 

始業も終業も、規則正しい毎日。

 

広い敷地には、こじんまりとした池もあり、

鯉が泳いでいたりもしました。

 

まだ、製版部には、

製版フィルムを、手貼りミクロ単位で修正する職人さんもいました。

 

強張り緊張していた「私の心」が、

ゆっくりと溶けていくのが実感できました。

 

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朝、いつものように、

徒歩15分で、東上線の和光市駅へ向かう途中。

 

その日は、土砂降りの雨。

 

駅までの近道、古い空き家の縁の下あたり、

「ママー!」

と、呼ぶ声を耳にして、目をこらすと、

 

そこには、

ずぶ濡れになって、必死に母猫を呼ぶ、

小さな三毛猫がいました。

 

もう、いないだろうな、大丈夫かな、

と、心配しながら、仕事帰り、その空き家を覗くと、

 

びくびくと怖がり、おびえながら、震えて、

縮こまっている、朝の三毛猫がいました。

 

「おうちに、かえろう。」

 

と、来ていたベストのファスナーを少しあけ、

私のお腹から、

じっと見る大きな目。

 

17年前の「りんご」のお話。

 

今も、誰よりも、長く、

私を見守ってくれ、寄り添ってくれている、

大切な家族です。

 

「ただいま。」

 

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